疾患辞典

下垂体腺腫

下垂体腺腫

下垂体腺腫は、脳の中心部、ちょうど両目の奥あたりにある「下垂体」という内分泌器官にできる腫瘍です。 下垂体は、指先ほどの大きさしかありませんが、体全体のホルモン(成長、代謝、ストレス、生殖など)を調節する司令塔の役割をもつ非常に重要な臓器です。下垂体にできる腫瘍のほとんどは良性であり、悪性は極めてまれです。

症状

下垂体腺腫の症状は、大きく2つのタイプに分けられます。

  1. 腫瘍が特定のホルモンを過剰に分泌することで生じる症状(機能性腺腫)

分泌されるホルモンの種類によって病名と症状が異なります。

  • プロラクチン産生腺腫(最も多い)
  •  ・ 女性:月経不順、無月経、妊娠していないのに母乳が出る、不妊

     ・ 男性:性欲の低下、勃起障害(ED)

  • 成長ホルモン産生腺腫(先端巨大症)
  •  ・ 顔つきの変化(眉間が出る、あごがしゃくれる)

     ・ 手足が大きくなる(靴や指輪のサイズが変わる)

     ・ 糖尿病、高血圧、いびき(睡眠時無呼吸)

  • 副腎皮質刺激ホルモン産生腺腫(クッシング病)
  •  ・ 顔が丸くなる、肥満

     ・ 高血圧、糖尿病、皮膚が薄くなる、うつ症状

  1. 腫瘍の存在によって生じる症状(非機能性腺腫)

腫瘍が周囲の脳の組織を圧迫することで症状があらわれます。

  • 目の症状(視力・視野障害) 腫瘍がすぐ上にある視神経の交差点(視交叉)を圧迫することで起こる、もっとも特徴的な症状です。外側から徐々に見えなくなり、「両方の耳側が見えない」「トンネルの中からのぞいているように見える」(両耳側半盲:りょうじそくはんもう)という、特徴的な視野障害が起こります。
  • 頭痛 腫瘍が大きくなり、周囲の膜などを圧迫して起こります。
  • 下垂体機能低下症 腫瘍が正常な下垂体そのものを圧迫し、必要なホルモンが出せなくなる状態です。(疲れやすい、だるい、やる気が出ない、寒がり、性欲低下など)

原因

多くは偶然に発生するもの(孤発性)で、明確な原因はわかっていません。生活習慣などとの関連も明らかではありません。 ごくまれに、遺伝的な病気(多発性内分泌腫瘍症1型など)の一部として発生することがあります。

検査と診断

「ホルモンの異常」と「画像」の両面から調べます。

  • MRI検査 脳の中心部にある小さな下垂体の腫瘍を鮮明に映しだすことができ、もっとも重要な検査です。造影剤を使うことで、1cm以下の小さな腫瘍(マイクロアデノーマ)も発見することができます。
  • 血液検査(内分泌検査) ホルモンの異常(「過剰に出ているホルモンはないか?」、逆に「圧迫されて足りなくなっているホルモンはないか?」)を詳しく調べます。
  • 眼科検査 視力の測定・眼底検査・視野検査で、下垂体腺腫に特徴的な両耳側半盲がないかを調べます。

治療

腫瘍のタイプ(ホルモン産生か否か)、大きさ、症状の有無によって治療法が異なります。

  • 経過観察 ホルモンを作っておらず(非機能性)、サイズが小さく、視野障害などの症状もない「偶然見つかった腫瘍」の場合は、治療をせず定期的に(半年~1年に1回)MRI検査やホルモン検査で様子をみます。
  • 薬物療法 プロラクチン産生腺腫の場合、カベルゴリン(カバサールなど)という薬の内服が第一選択です。この薬は非常に効果が高く、多くの場合は薬を飲むだけで腫瘍が小さくなり、ホルモン値も正常化します。
  • 外科的摘出術(手術) 薬物療法が効かない腫瘍や、それ以外のほとんどの腫瘍(視野障害が出ている、クッシング病、先端巨大症など)の第一選択となる治療です。
  • 経鼻的経蝶形骨洞手術 現在、主流となっている手術法です。頭を開けるのではなく、鼻の穴から下垂体の底にある骨の壁(蝶形骨洞)を削って腫瘍に到達し、摘出します。顔や頭に傷が残らず、体への負担が非常に少ないのが特徴です。
  • 放射線治療(ガンマナイフ) 手術で腫瘍が取りきれなかった場合や、再発した場合、あるいは手術が難しい場合に腫瘍がある場合に検討されます。 定位放射線治療で、周囲への影響を最小限に抑えながら腫瘍の成長を抑えます。

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