疾患辞典

松果体部腫瘍

松果体部腫瘍

松果体部腫瘍とは、脳の奥深く、ほぼ真ん中に位置する「松果体部」という小さな領域にできる腫瘍の総称です。
松果体部腫瘍の種類はさまざまですが、最も多く発生するのが胚細胞腫瘍です(とくに小児・若年者)。松果体実質腫瘍(松果体そのものから発生する腫瘍)なども含まれます。
松果体部は中脳水道(脳脊髄液の通り道)や中脳(目の動きを調節する神経の中枢)のすぐそばにあるため、腫瘍が比較的小さくても特徴的な症状が出やすいです。

症状

症状は主に水頭症による症状と目の症状に分けられます。

  • 水頭症による症状 最も多い症状です。 腫瘍が脳脊髄液の通り道をふさいで脳内に水が溜まり、頭蓋骨の中の圧力が上がってしまうこと(水頭症)で症状が起こります。
  •  ・頭痛(特に朝方に強く、だんだん悪化する)

     ・吐き気、嘔吐

     ・ぼーっとする、元気がなくなる

  • 目の症状(パリノー症候群) 松果体部の腫瘍に特徴的な症状です。腫瘍がすぐ近くにある中脳を圧迫することで起こります。
  •  ・上の方を見ようとしても目がうまく動かず見にくい(上方注視障害)

     ・物が二重に見える(複視)

     ・瞳孔の異常

  • その他の症状
  •  ・ふらつき、歩きにくさ(小脳が圧迫された場合)

     ・思春期が異常に早く来る(胚細胞腫瘍の場合)

検査と診断

まず画像検査で腫瘍の存在と水頭症の有無を確認し、次に腫瘍の種類を特定します。

  • MRI検査 腫瘍の正確な位置や大きさ、水頭症を起こしているかどうかを判断します。
  • 腫瘍マーカー(血液検査・髄液検査) 胚細胞腫瘍(とくにジャーミノーマ以外)は、AFPやHCGといった特徴的なマーカーを血液中や脳脊髄液中に放出します。このマーカーの値が高いだけで腫瘍の種類がほぼ確定できる場合があり、この検査が診断の鍵となります。
  • 病理診断(生検術) 腫瘍マーカーが正常でも、腫瘍の種類を確定し治療方針を決めるために、手術で腫瘍のごく一部を採取し、顕微鏡で調べる(病理診断)必要があります。

治療

まず、①水頭症を治療し、次に②腫瘍本体の治療をする という二段階で行うのが一般的です。

  1. 水頭症に対する緊急治療 頭痛や吐き気、意識障害がある場合は、脳圧を下げる処置が最優先されます。
    • 神経内視鏡による手術
    • 現在主流となっている方法です。頭に小さな穴を開け、内視鏡を脳室に入れて脳脊髄液のバイパスを作ります(第三脳室底開窓術)。水頭症の治療と同時に内視鏡で腫瘍の一部を採取(生検術)できることが、この手術の利点です。

  2. 腫瘍本体の治療 生検術で確定した腫瘍の種類によって治療法が全く異なります。
    • ジャーミノーマ(胚細胞腫瘍)の場合:放射線治療や化学療法(抗がん剤)が非常によく効きます。手術で腫瘍をすべて取り除く必要はなく、これらの治療で根治が期待できます。
    • 非ジャーミノーマ(胚細胞腫瘍)の場合:まず化学療法を行い、そのあと残った腫瘍を外科的摘出術や放射線で治療します。
    • 良性腫瘍(松果体細胞腫、奇形腫など)の場合:外科的摘出術が第一選択です。脳の奥深くにあるため、非常に難易度の高い手術となります。
    • 悪性腫瘍(松果体芽腫など)の場合:手術、放射線治療、化学療法を組み合わせた集学的治療が必要です。

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