疾患辞典

頭蓋咽頭腫

頭蓋咽頭腫

頭蓋咽頭腫は、脳のほぼ真ん中、下垂体のすぐ上あたりに発生する先天性の脳腫瘍です。胎児期に、下垂体が作られる過程で残った、本来なくなるべき細胞(ラトケ嚢のう)から発生すると考えられています。良性ですが、腫瘍が下垂体や視神経、視床下部(体温や食欲、ホルモンを調節する重要な中枢)といった脳の重要な部分に癒着して成長することが多いため、治療が難しいとされています。
発症のピークが「5歳〜15歳くらいの小児」と「50代以降の成人」の2つの年代にあるのが特徴です。

症状

腫瘍が大きくなって、周囲にある脳の組織を圧迫することで症状が起こります。

  • 目の症状(視力・視野障害) 腫瘍がすぐ下の視神経を圧迫することで、「両方の耳側(外側)が見えにくい」(両耳側半盲)という特徴的な視野障害や視力低下が起こります。
  • ホルモン(内分泌)の異常 腫瘍が下垂体や視床下部を圧迫し、必要なホルモンが出なくなること(下垂体機能低下症)で起こります。
  •  ・ 小児の場合:成長ホルモンが不足し身長が伸び悩む(成長障害)。この症状で発見されることが多いです。

     ・ 成人の場合:疲れやすい、だるい、やる気が出ない(甲状腺・副腎皮質ホルモン低下)、性欲の低下など。

     ・ 年齢に関わらず:異常にのどが渇き、大量の尿が出る(尿崩症)という症状が出ることがあります。

  • 頭蓋内圧亢進症状  腫瘍がさらに大きくなり、脳の中の水(脳脊髄液)が流れる道をふさいでしまうと、脳内に水が溜まり水頭症を起こします。 これにより、頭の中の圧力(脳圧)が上がり、頭痛、吐き気、嘔吐、意識障害などを引き起こします。

原因

胎児期に、下垂体の形成に使われた細胞の一部が退化せず残ってしまい、それが何らかのきっかけでゆっくりと腫瘍化したものと考えられています。 遺伝や生活習慣とは関係なく、偶発的に発生するものです。

検査と診断

画像検査とホルモン検査で診断します。

  • MRI検査 腫瘍の正確な位置、大きさ、視神経や視床下部との関係(どれくらいくっついているか)を詳しく調べます。 腫瘍は、内部に嚢胞とよばれる液体の袋をもつことが多いです。
  • CT検査 腫瘍の内部に石灰化(カルシウムの沈着)があるかどうかが分かります。頭蓋咽頭腫の多くは石灰化を伴うため、診断の有力な手がかりとなります。
  • 血液検査(内分泌検査) 下垂体から出るホルモン(成長ホルモン、甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンなど)が正常に出ているかを詳しく調べます。
  • 眼科での視力・視野検査 視神経がどの程度圧迫されているかを調べます。

治療

基本的には、外科手術による摘出を行います。腫瘍は良性ですが、周囲の重要構造物へ癒着や浸潤をしていることが多く、治療は慎重に行われます。

  • 外科的摘出術(手術) 周囲にある脳の重要な部分を損傷しないようにしながら、できるかぎり腫瘍を取り除きます。摘出手術には、開頭手術と経鼻的手術があります。神経機能を温存するために、腫瘍を取り残さざるを得ないこともあります。
  • 開頭手術: 頭を開いて、脳の隙間から腫瘍にアプローチする方法。
  • 経鼻的手術: 下垂体腺腫と同様に、鼻の穴から腫瘍を摘出する方法です。腫瘍を無理に全部取ろうとすると、視床下部を傷つけて重い意識障害やホルモン異常(止まらない肥満など)が残ったり、視神経を傷つけて失明したりする危険があります。 そのため、安全を最優先し、あえて腫瘍の一部を残す部分摘出を選択することも多いです。
  • 放射線治療(ガンマナイフ) 手術で取り残した腫瘍や再発した腫瘍に対し、その成長を抑えるために行います。 ガンマナイフなどの定位放射線治療で、周囲の正常な脳への影響を最小限にします。
  • ホルモン補充療法 腫瘍によって、または手術によって下垂体や視床下部がダメージを受けると、生きていくのに必要なホルモンが自力で出せなくなります。 そのため、不足しているホルモン(甲状腺ホルモン、副腎皮質ステロイドホルモン、成長ホルモンなど)をお薬で補充します。非常に重要な治療です。

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