疾患辞典

脊索腫

脊索腫

脊索腫は非常にまれな腫瘍の一種です。 胎児期に存在する背骨の元となる組織「脊索(せきさく)」の遺残組織から発生します。 通常、脊索は生まれるまでに消えてなくなりますが、一部が名残として頭蓋骨や背骨の中に残ってしまうことがあり、それが何十年も経ってからゆっくりと腫瘍化したのが「脊索腫」です。
周囲の骨を溶かしたり、重要な神経や血管を巻き込みながら染み込むように広がる性質があるため、治療の難しい病気です。
発生する場所は、ほとんどが斜台部(鼻の奥深く、脳の中心)か仙骨部のどちらかです。

症状

脊索腫は非常にゆっくりと成長するため、初期は無症状のことが多いです。腫瘍ができた場所(ここでは主に頭蓋底)によって症状が異なります。

  • 目の症状(複視) 最も多い初期症状です。 腫瘍が目を動かす神経を圧迫することで、物が二重に見えるようになります。
  • 頭痛 鼻の奥や頭の奥が痛む「後頭部痛」として感じることがあります。
  • 顔のしびれ・痛み 顔の感覚を司る三叉神経を圧迫して起こります。
  • 飲み込みにくさ・声がれ 腫瘍がさらに大きくなり、飲み込みや声を出す神経(舌咽神経、迷走神経)を圧迫すると、食事中にむせやすくなったり(嚥下障害)、声がかすれたり(嗄声:させい)します。
  • 手足の麻痺・ふらつき 生命維持の中枢である脳幹を前から圧迫するようになると、手足の麻痺や歩行時のふらつきが出ることがあります。

検査と診断

診断には、骨と腫瘍の関係を詳細に調べる画像検査が必須です。

  • CT検査 骨の状態を調べるのに優れています。 脊索腫は、斜台部の骨を破壊しながら広がっていくため、その特徴的な骨の壊れ方を確認します。
  • MRI検査 腫瘍そのものの広がりを調べます。腫瘍がどの神経や血管、脳幹とくっついているのかを詳細に把握し、治療(とくに手術)の計画を立てます。
  • 病理診断 手術で採取した腫瘍組織を顕微鏡で調べて診断を確定します。

治療

脊索腫は、重要な神経や血管に囲まれた場所に発生するため、治療が非常に難しい腫瘍です。基本的に、手術と放射線治療を組み合わせて治療します。

  • 外科的摘出術(手術) 周囲の神経機能を温存しながら腫瘍をできるだけ広範囲に取り除きます。 腫瘍が鼻の奥にあるため、体への負担が少ない方法として、鼻の穴から内視鏡を入れて腫瘍を摘出する「経鼻的内視鏡手術」が増えています。 しかし、腫瘍は骨に広く浸潤し神経をまき込むため、一度の手術で全てを取り除くのは困難な場合も多いです。
  • 放射線治療 脊索腫は通常のX線による放射線治療が効きにくい性質があります。 そのため、重粒子線治療や陽子線治療といった「粒子線治療」が選択されます。 これらは、通常の放射線よりも強力で、腫瘍にピンポイントで大量の線量を集中させることができます。 手術で腫瘍が残った場合や再発した場合の標準的な治療法となります。

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