疾患辞典

神経膠腫(グリオーマ)

神経膠腫(グリオーマ)

脳は、情報を伝える神経細胞(ニューロン)と、それを支えたり栄養を与えたりする神経膠細胞(グリア細胞)でできています。 神経膠腫(グリオーマ)は、このグリア細胞が腫瘍化する病気です。
脳そのものから発生する「原発性脳腫瘍」の中で、最も頻度が高いものの一つです。脳を外から圧迫する髄膜腫とは異なり、正常な脳組織の中に染み込むように(浸潤して)広がっていくのが特徴です。そのため、正常な脳と腫瘍との境界線がわかりにくいという厄介な性質を持っています。

症状

腫瘍の場所や大きさ、成長のスピードによって症状はさまざまです。

  • 頭痛 数週間~数ヶ月かけて徐々に強くなる頭痛。とくに朝起きた時に頭痛が強く、日中にやわらぐのが特徴的です。
  • けいれん発作(てんかん発作) これまで健康だった成人が突然けいれんを起こした場合、神経膠腫が疑われます。
  • 手足の麻痺、しびれ 手足を動かす神経の通り道に腫瘍ができると、力が入りにくくなります。
  • 言葉の障害、性格の変化 言葉の中枢や、前頭葉(思考や感情を司る場所)に腫瘍ができると、「ろれつが回らない」「言葉が出ない」「性格が変わってしまう(ぼんやりする、怒りっぽくなる)」といった症状が出ます。

原因

ほとんどの場合、発生原因は不明です。神経膠腫は、細胞の遺伝子に何らかの変異が起こることで形成されます。一般的に、遺伝や生活習慣(食事、喫煙、携帯電話の使用など)との明確な関連はないとされています。

検査と診断

「ホルモンの異常」と「画像」の両面から調べます。

  • MRI検査 神経膠腫の診断にもっとも重要な検査です。腫瘍の広がりや場所を確認します。造影剤を使ったMRI検査を行うことで、腫瘍の悪性度(グレード)をある程度予測することができます。
  • PET検査・MRS検査 腫瘍の細胞がどれくらい活発かを調べ、悪性度をより詳しく評価します。
  • 手術による病理診断(確定診断) 手術で採取した腫瘍の組織を顕微鏡で調べ、さらに遺伝子検査を行うことで、最終的な診断が確定します。 これにより、腫瘍のタイプやグレード(悪性度)を4段階に分類し、今後の治療方針を決定します。
  •  ・ グレード1: 良性。手術で取り切れば治癒が期待できる。

     ・ グレード2〜3: 中間的な悪性度。再発しやすく、追加の治療が必要な場合がある。

     ・ グレード4(膠芽腫): 悪性度がもっとも高い。腫瘍の成長が速く、強力な治療が必要。

治療

手術、放射線、化学療法(抗がん剤)の3本柱で治療を行います。 腫瘍が正常な脳に染み込んでいるため、完全に取り除くことが難しい場合が多く、脳の機能を守りながら最大限の治療を行います。

  • 外科的摘出術(手術) 手術の目的は、腫瘍をできるだけ多く取り除くことと、組織を採取して正確な診断をつけることです。 無理に取りすぎて神経を傷つけると、手足の麻痺や言語障害などの神経症状が出てしまうため、脳の機能を温存しながら最大限摘出することが重要です。
  • ナビゲーションシステム手術器具の正確な位置を追跡できる、脳のGPSのような装置です。手術部位を正確に特定し、周囲にある脳組織や血管を避けながら効果的に手術を進めることができます。
  • 術中モニタリング/覚醒下手術 手術中に電気刺激を使用して神経の正常な機能をリアルタイムで把握します。これにより、重要な神経を避けて安全に摘出を進めることができます。機能温存を図り、手術中に患者さんを麻酔から覚醒させ、会話や手足の動きを確認しながら摘出を進める覚醒下手術を行うこともあります。
  • 5-ALA(蛍光ガイド手術) 手術前に特殊な薬を飲み、術中に特殊な光を当てて腫瘍を赤く光らせ、取り残しを防ぐ方法です。
  • 放射線治療 手術後に残った腫瘍に対して行います。グレード3や4の場合ほぼ必須となります。
  • 化学療法(抗がん剤) テモゾロミド(テモダール)という飲み薬が標準的に使われます。

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